土壌の仮比重と物理性(三相)の測定方法と改善方法について

土壌

土壌の物理性の三相、液相、気相、固相のバランスが大事だということは農業をやる人であればだれでも聞いたことがあると思います。しかし、「どうやって測定して改善すりゃええねん!?」
となって気が付いたら物理性に関しては何もしていないという状況になっている場合があります。

今回は誰でも簡単に土壌の物理性(三相)と仮比重を測定する方法と改善する方法について書いていきたいと思います。  

用意する物

用意する物は
・アルミホイル
・フライパン
・計り(0表示ができるもの)
・空き缶(190gのスチール)
・空き缶を切る道具とヤスリ
です。

まず、空き缶を6割程度に輪切りにします。
切り口を綺麗に水平にしてなるようにヤスリをかけます。
これを土を採取する道具として使います。

次に空き缶の容量を計測します。
計りに空き缶を載せて0表示にして、水をスリキリ一杯まで入れて重さを計ります。
$$水1g=1ml=1cm^3$$なので、50gだったら、
$$50g=50ml=50cm^3$$となります。

取る土の状態と生土と乾土の重さ

土を取るのは、雨が降った後の3日後くらい(水が流れ切った状態)で、表層の3cmを取り除いて、輪切りにした空き缶を真っすぐ差し込みます。

次に計りにアルミホイルを引き、アルミホイルの重さを記録して、0表示にして取ってきた土の重さを計ります。この時の土の重さは生土の重さになります。

今度はアルミホイルごとフライパンに移して弱火でじっくりと10分以上かけて乾かします。
弱火の理由は土の中の有機物を燃やさないためです。

乾かし終えたら、計りに載せて表示された重さからアルミホイルの重さを引きます。
この重さが乾燥土の重さとなります。

仮比重と土の三相(液相率、固相率、液相率)の計算





仮比重は次の式で表せます。
$$仮比重=\frac{乾燥土の重さ(g)}{空き缶の容積(cm^3)}$$

次に土の三相の計算をします。
液相率の計算式は
$$液相率=(\frac{生土の重さ(g)}{空き缶の容量(cm^3)}-\frac{乾燥土の重さ(g)}{空き缶の容量(cm^3})×100$$

固相率の計算式は
$$固相率=(\frac{乾燥土の重さ(g)}{真比重(g/cm^3)×空き缶の容量(cm^3)})×100$$
で表せます。殆どの 鉱質土壌 の真比重は2.6~2.7なので、
真比重は2.65と設定して計算するのが良いと思います。

気相率の計算式は、
$$100-(液相率+固相率)$$です。

ちなみに、それぞれの理想値は下記となります。
仮比重は 0.96~1.06
液相率は30%
固相率は40%
気相率は30% 
土壌が団粒構造になっていれば三相はほぼ理想値になっています。
理想値から離れている場合は、団粒構造になっていないため団粒化を進める
必要があります。

仮比重の改善方法について

測定した仮比重を理想値にするために下げる場合はモミガラ、
上げる場合はゼオライトといった資材を使います。

資材を入れて土の仮比重を理想値にするための式は

$$\frac{土の体積(m^3)×土の仮比重(kg/m^3)+資材の体積(m^3)×資材の比重(kg/m^3)}{土の体積(m^3)+資材の体積(m^3)}\\=理想の仮比重(kg/m^3)$$

となります。

例えば10aで作土層が10cmの場合、土の体積は100m3になります。
そして土の仮比重が1.10で1.0にしたい場合は仮比重を下げることになるので、
もみ殻を使います。もみ殻の比重は0.1(g/cm3)です。

ここで重要なのは、まず比重の単位(g/cm3)を(kg/m3)に変える事。
100万cm3=1m3なので
100万/100万 を(g/cm3)にかけます。
そうすると単位が(100万g/100万cm3)となります。

100万g=1000kg、100万cm3=1m3となりますので、
(100万g/100万cm3)=(1000kg/m3)になります。

よって比重の単位(g/cm3)から(kg/m3)に変換する場合は
1000倍すればよいことになります。

資材を入れて土の仮比重を理想値にするための式は

$$\frac{土の体積(m^3)×土の仮比重(kg/m^3)+資材の体積(m^3)×資材の比重(kg/m^3)}{土の体積(m^3)+資材の体積(m^3)}\\=理想の仮比重(kg/m^3)$$

今回の場合は
土の体積は100m3
土の仮比重1.10(g/cm3)は1100(kg/m3)
もみ殻の体積は不明なのでx
もみ殻の比重0.1(g/cm3)は単位変換をして100(kg/m3)
理想の仮比重1.0(g/cm3)は単位変換をして1000(kg/m3)
なので、式に代入していくと、

$$\frac{100(m^3)×1100(kg/m^3)+x(m^3)×100(kg/m^3)}{100(m^3)+x(m^3)}\\=1000(kg/m^3)$$
となり、計算していくと
$$1000×100+1000x=100×1100+100x
\\↓(各値を100で割る)
\\1000+10x=1100+x
\\↓
\\x=11.1111≒11.1(m^3)$$


よってもみ殻を11.1(m3)投入すればよいことになります。

これを重量に置き換える場合はもみ殻の比重0.1(g/cm3)を
100(kg/m3)に置き換えた物にかければよいので、
$$11.1(m^3)×100(kg/m^3)=1111(kg)$$
とななり、もみ殻を1111(kg)投入すればよいことになります。

このようにして投入する資材の量を計算して投入することによって、
比重を改善することができます。

ただし、もみ殻はCN比が高いため、投入の際は窒素も加えて窒素飢餓を起こさないようにする必要があります。

物理性の改善方法について



物理性の液相、固相、気相のバランスを取るためには団粒構造であることが不可欠です。
これを構成するためには、まず腐植の理想値5%を目指すことと、善玉菌の微生物を増やすこと。

10aの畑で作土層10cmの場合、土の体積は100(m3)。
ここで腐植の体積をx(m3)として、腐植を0から5%にする場合、
$$\frac{x(m^3)}{100(m^3)+x(m^3)}=0.05$$
となります。計算していくと、
$$x=0.05(100+x)
\\↓
x=5+0.05x
\\↓
x=5.2631・・≒5.3(m^3)$$

よって5.3(m^3)が必要な腐植の量となります。
腐植を含有している資材の量ではなく、腐植の量となります。
腐植含有率が50%の資材場合は
5.3/0.5=10.6となるため10.6(m3)の体積分資材が必要となります。
重量はその資材の比重(kg/m3)に変換したものとかけ合わせれば求められます。

ちなみに、10aあたりの腐植の消耗は200㎏と言われているので、
土壌中の腐植の含有率を維持するためには作物が消費する200㎏の腐植を別途投入する必要があります。

また、微生物を増やすためには収穫後にカルスNCを使った土中堆肥という方法があります。この時に仮比重調整資材と腐植資材を投入して物理性と生物性と腐植+CECも改善できます。
そして肥料も市販の肥料ではなく、ぼかし肥を使うことで土壌の中の善玉菌を増やすことができます。ぼかし肥は乳酸菌もみがらぼかしが良いと思います。
カルスNCを使ったぼかしは遮光してあるところでないと作れません。

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