日本の農業の補助金についていろいろモノ申している人がたまにいたりしますが、
海外の農業の補助金についての話題はあまり出てきません。
今回は、日本とEUの農業の補助金（直接支払）がどれくらい違っているのかについて
見ていきたいと思います。
日本の農業の補助金（直接支払）について
まず、平成29年度の日本全体の農業所得は
３兆7616億円になります。
日本の農業への補助金（直接支払）の予算は
7411億6800万円になります。
所得における補助金（直接支払）の予算割合は
約19.7%。
ただ、この数値だけではEU諸国と比べて高いのか低いのかわからないので、
EU諸国と比べていきましょう。
EUの農業の補助金（直接支払）制度について
EUには、 Common Agricultural Policy (CAP）
という制度があります。（日本語に訳すと共同農業政策）
EUに加盟している28か国で実施されています。
CAPに使われている予算は、EUの予算の内、
2014年度から2020年度の枠組みで38％に及ぶ42兆9,355億円
が割り当てられています。
加盟国数で割ると、一カ国あたり約1兆5333億円になり、
金額面だけだと日本を上回っています。
<参考資料：
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_000930.html >
では、EU各国の農業所得に対してどれくらい補助金（直接支払）の予算が
あるのでしょうか。
イギリスの農業の補助金（直接支払）について
イギリスの農業所得における補助金（直接支払）の
予算の割合は54.1%です。
農業所得の半分以上の補助金（直接支払）予算があるので、
割合で比較すると2.5倍以上の予算をもっていることになります。
手厚く農業を保護しようとしているというのが見受けられますね。
フランスの農業の補助金（直接支払）について
フランスの農業所得における補助金（直接支払）の予算の
割合は65.8%です。
フランスといえばチーズ日本と比較するとかなり安く売られていますが、
人件費が安いわけではありません。
この 補助金（直接支払 )の予算が豊富なおかげで、
生乳は安くなる代わりに、酪農家には補助金（直接支払）を手厚く
しているようにしているのかもしれませんね。
農業所得に対する割合で日本と比較すると3倍以上の予算を
持っていることになります。
スロバキアの農業の補助金（直接支払）について
スロバキアの農業所得における補助金（直接支払）の予算の
割合は781.8%です。
100％どころか700%を超えてしまっていますね。
このような数値が出てくるのは、スロバキアの賃金と農業機械の価格差にあると思います。
スロバキアの月額の最低賃金は520ユーロ、日本円に直すと約6万2000円になります。
一方、スロバキアの農業について調べると大型のハーベスターをガンガン動かして
収穫しているシーンがあります。
大型の小麦のハーベスターは数千万円はしますので、スロバキアの人の賃金を
考慮するととても買えないということになります。
結果として、農業補助金（直接支払）の予算が、農業所得にたいしての割合が
巨大に膨らんだと考えられます。
安さで勝つには補助金が無いと無理
こうやって農業の補助金（直接支払）の状況を見ていくと、
人件費が日本と同等、またはそれ以上なのに生産物が安いのは
補助金（直接支払） があるからこそ成立しているようにも見受けられます。
EUの3カ国と日本を比較すると、農業所得に対する日本の補助金（直接支払）の
予算はまだまだ弱いものがあると思いました。
最も、補助金が無くても経営できることが良いのですが、
価格競争に巻き込まれても補助金（直接支払）で赤字をカバーしているような
国に勝つのは無理ゲーだと思います。
＜参考資料： http://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_syokuryo/attach/pdf/itaku29-3.pdf
※農業補助金（直接支払） は 直接支払 予算（第 一の柱） の総額 と 第二の柱の内、本報告書に関連する を合計したもの）＞
＜参考資料：
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/nougyou_sansyutu/attach/pdf/index-5.pdf＞
＜参考資料：
http://www.maff.go.jp/j/budget/attach/pdf/29kettei-68.pdf
※ 日本の農業への補助金（直接支払） は、水田活用の直接支払交付金、経営所得安定対策、日本型直接支払 を合計したもの
＞
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