未熟堆肥は絶対に使ってはダメなわけ

農業

農業において最も重要だとされているものが土づくりです。

土中の微生物を増やして団粒構造を作ることが、良い土づくりとされています。

その為、多くの方々は堆肥を散布して良い土を作ろうとしていますが、
良い土を作るための堆肥は完熟堆肥」であり、「未熟堆肥」ではありません。

なぜかというと、「未熟堆肥」 を土の中にすき込むと作物に多くの悪影響を与えてしまいます。

① 窒素飢餓になる

未熟堆肥には「易分解性有機物」が多く含まれています。

微生物が 「易分解性有機物」に含まれる炭素と窒素を取り込んだ際、
炭素量に対して窒素量が不足していた場合、不足分を土壌の窒素から補おうとします。

土壌から窒素を取り込むわけなので、施設した肥料もムダになってしまいますし、
作物に窒素が行きわたらなくなってしまいます。

② 病原微生物による被害を受ける

未熟堆肥の場合、「病原微生物」が死滅せずにそのまま残っている場合があります。
そして、生き残ったまま土と一緒にすき込まれて活性化するということは、
土壌が病原微生物によって汚染され、作物が病気になりやすくなります。

また、未熟堆肥は分解途中であるため、未熟な有機物を分解するための
菌である「細胞壁分解菌」があります。
この菌は幼苗のような弱い状態の植物の細胞壁を分解(溶かす)するため、
病原生物が侵入して病気になりやすくなります。

③ 雑草の種を撒いていることになる

「完熟堆肥」の場合は、成熟過程による高温(60度以上で数日間)により、
雑草の種子や先ほど述べた病原微生物を死滅させることができます。

しかし、「未熟堆肥」の場合、雑草の種子が死滅せずに残った状態となり、
未熟堆肥を散布する=雑草の種を撒くことにもなります。

堆肥を散布したらものすごく雑草が生えてきた、というのは
正にこのことです。

また、最近は外来性の雑草が問題となっていますが、侵入経路の1つとして、
外国産の飼料の中に入っていた雑草種子が消化されずにそのまま排出されて、
未熟堆肥として散布されたというのがあります。

④ ガス障害が発生する

「未熟堆肥」には未熟な有機物が多く含まれています。
その有機物を分解する過程で、アンモニアが生まれ、土壌にたまります。

そして、土壌のPHが高い場合や、急激な温度上昇が起こるとアンモニアはガス化します。
この「アンモニアガス」は、作物の細胞の酸素を奪うため、一気に作物に障害が発生します。

また、土壌に含まれているアンモニアは微生物により
アンモニア→亜硝酸→硝酸と分解されていきますが、
未熟な有機物の散布量が多く、土壌が酸性の場合は

亜硝酸→硝酸の分解工程がうまく行われないため、
土壌に亜硝酸が多く貯まることになります。

この状態で土壌のPHが酸性に傾いたり、温度が急上昇すると亜硝酸ガスが
発生し、作物の障害を引き起こします。

⑤まとめ

未熟堆肥を使ってはいけない理由を示してきました。

これほどデメリットがあるものを圃場に散布するのは土づくりというよりも
土破壊とも呼べるでしょう。

堆肥が安い・・といってもそれが未熟なのか完熟なのか、
どういう製法で作られたものなのか必ず確認しましょう。





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