以前は誰かが耕作していたけど、それ以降誰も作付けや手入れをしなくなり
、荒れた土地のことを耕作放棄地といいます。
この耕作放棄地が増えていることは問題なので解決していかなくては
と農林水産省は考えているようです。
しかし、私が思うに耕作放棄地が増えるのは当たり前、もとい
高度経済成長時代を見ていけば当たり前の事であると思います。
その理由について話していきたいと思います
高度経済成長期からの農家とサラリーマンの所得差
高度経済成長期はおよそ1953~1973年のことを差しますので、
その頃の農家とサラリーマンがどれくらい所得があったのか見ていきましょう。
①農家の所得
農家の所得は以下のようになります。
<引用: https://www.rieti.go.jp/jp/special/special_report/065.html >
ここで注目するべきところは、「農業所得」と「農家総所得」がどれくらい
差があるのか、というところアデス。
明らかに、農業所得よりも農家総所得の方がどんどん大きくなっています。
1965年代あたりから、 「農家総所得」が 「農業所得」 の2倍くらいになっています。
更に1975年代は 「農家総所得」 が400万円程度に対して 「農業所得」 は
110万円程になっています。
つまりこれは、農家の中で農業の所得よりもその家の誰かの農業以外の所得が大きいと言えます。
②サラリーマンの所得
次はサラリーマンの年収の水位のグラフを見てみましょう。
<引用: https://nenji-toukei.com/n/kiji/10022/%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E5%B9%B4%E5%8F%8E >
サラリーマンの年収はじわじわと上がってきていますね。
1975年のサラリーマンの年収は150万円を超えていると見受けられますね。
③サラリーマンをやった方が稼げる
①、②のグラフを見比べてみると、②のグラフのサラリーマンの年収の推移は、
①のグラフの 「農家総所得」 の推移とかなり類似しています。
これは、農業をやらずにサラリーマンをやっていた方が何倍も稼げてしまう
ということを表しています。
ということは、家で農業を引き継ぐよりもサラリーマンをやっていた方が稼げるので
農業をやる人口は減っていき、農地も管理されなくなっていきます。
長男が農業を引き継ぐべきというシステムの弊害
今は殆どないと思いますが、昔は家で農業を営んでいる場合、
長男が農業を引き継ぐべきというシステムがありました。
しかしそのシステムにも弊害があります。
きちんと利益が出ている経営状況で事業を引き継ぐのであれば
引き継がされてもデメリットは多くは無いと思いますが、
利益が全く出ていない経営状況で事業を引き継がされるのは最悪の状況だと言えます。
まず全く利益が出ない状況(時給が最低賃金以下)であるならば
廃業すべきだと思います。
それをやらずに長男にそのまま引き継がせるのは負債を負わせるに等しい
行為です。
経営状況を改善できればいいわけですが、結果的にずるずるとやり続けて
自分で農業が出来なくなった時には、既に長男に農業を引き継がせるという
システムは崩壊し、子供に利益の出ない事業を引き継がせるわけにはいかないと
なるわけです。
こうして農地だけは持っているけど管理できない状況が続き、
耕作放棄地となっていくわけです。
現代農業に適さない場所
現代農業では農業機械が不可欠です。
そのため、圃場の周辺の道が広く、整備されていればそこを借りたいという人は
います。いわゆる、良い場所と呼ばれる圃場です。
昔は人や馬が入れれば農業をすることができました。
しかし機械化が進み、機械が入れないような場所や圃場が狭く、散らばっていては
作業の能率も下がりますし、人力でやらなければならない作業が発生します。
結果、管理できなくなったこのような農地を貸したくても売りたくても
手を付けたい人が現れず、耕作放棄地となってしまいます。
耕作放棄地は自然に還った場所
以上で耕作放棄地が増えるのは当たり前だと思う理由についてまとめてみました。
ちなみに、耕作放棄地は人が手を加えない自然の状態、自然に還った場所なので
農業とは真逆の意味を現わしていると思いますね。
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